「ノリがいい、お酒が飲める、空気が読める、オチが言える、先輩に気を使える」
ということが求められるからです。皆が気分良く過ごせる雰囲気を作れるかが大事な気がします。
学生の交流関係の広がりには、話の中身は重要ではありませんでした。
「アイツ面白い」と思われると、飲み会や合コンに呼ばれ、ドンドン連絡先が増えていきます。
携帯電話の電話帳をいっぱいにして満足していた、そんな時期もありました。
ノリとか空気が好きでない方には、なんて詰まらない世界なんでしょう。
一般的な日本での営業であれば、その学生のノリとかが卒業後も活かされるかもしれません。
しかし、相手が大企業役員や著名教授、政治家になると、ノリ以上に大事なことが出てきます。
「アイツ面白い」と思われる重要性は同じですが、「面白い」の意味が変わってきます。
「信頼性、話の重み、端的に話す、ジョーク」
ジョークは、その学生のオチ話に通じるものがあるかもしれませんが、それ以外は違います。
相手は多忙な方です。特に欧米のビッグな教授から10分もらうのだけでも、至極大変です。
彼らの1分は私の1日に相当するくらい重いです。
例え彼らの10分をもらえたとして、何を話すかが大切になります。いわゆるpitch talkです。
グダグダお酒を飲んでいる時間なんてありません。空気を読んでいる時間もありません。
限られた時間で、何を話すか、どのように話すかで、その後の人生が大きく変わり得るのです。
そんな機会が、卒業間近のPhDやポスドクになると、国際会議などで増えてきます。
残念ながら、そんな大切なことをMITに来るまで知りませんでした。今でも、かなり苦労しています。
国際会議での発表自体も大変重要ですが、それ以外の接見時間での話も大事なんです。
貴重な時間をもらうから、必ず相手にもプラスになる情報や議論を提供することがポイントです。
そうすることで信頼関係が築かれ、共同研究先やポスドクとして採用されるのを見てきました。
名刺の数や訪問の数ではなく、信頼関係の強さが、研究者や起業家の将来を左右するようです。
国際会議では、パーティやポスターセッションで不特定多数の方と出会う機会があります。
この場合は話す時間があります。しかし、覚えてもらうには話の内容とジョークが重要になります。
これまで、私は何度も失敗してきました。多数のチャンスを逃してきていると思います。
英語が苦手だったからだけではありません。話の内容が浅すぎるのです。
研究もそうですが、普段からどんな情報を得て、何を考えているかが大切になります。
オーストラリアの友人に「日本人はニュースを見ているが、意見を持っていない」と言われました。
他人の意見の丸のみは御法度です。自分で考えていると、質問内容も変わってきます。
また、相手の意見に賛同ばかりして自分の意見を言わないと、信頼は得られません。
盛り上がらないと「はい、はい」と別れたりしますが、良い関係を築けると固い握手でお別れです。
毎回、会議の参加者の中から、新しく2人以上の信頼を得られるよう心がけています。
そう意識していると、例え自分が忙しくても、学生や後輩の相談に積極的に乗るようになりました。
研究以外の人も含めた様々な分野の人とのネットワーキングの大切さをボストンで感じています。
BIGな方でなくてもいい、年齢が近い方でいい。そういった繋がりから少しずつ広がっています。
良い信頼関係を築いていると、そこから紹介や推薦され、どんどん膨らんでいきます。
雑誌の編集者になったり、学会運営委員になったり、ヘッドハンティングを受けたりするそうです。
何度も言います。第一は、数ではありません。信頼の深さです。
そして、自分が推薦する際も、非常に気を使うようになりました。
この人にあの人を推薦して良いだろうか?時間を無駄にさせてしまわないだろうか?
良い人を紹介していると、より多くの良い人を紹介してもらえます。それが米国です。
どんどん周りが凄い人だらけになってくるので、自分がもっと成長しないと、と思うようになります。
正のスパイラルですね。
少しずつしっかりと信頼関係を築いていると、大物の研究者から面白い仕事が舞い込んできます。
どこにチャンスが転がっているか分かりません。
本当に、一期一会、です。
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