2017年9月17日日曜日

日本アカデミック応募

日本の大学は4月就業のため、公募は6~8月頃、面接は8~9月に多いようです。研究所の場合は、企業と同じで3~4月に公募がよく出ているように思います。「予算が多い」「研究に専念できる」という点で研究所はとても魅力的ですが、1年前の就職活動というのは海外にいるとやり難いです。なので、今年は大学に専念して応募することにしました。

大学は、企業の新卒みたいに横並び就活ではないので、書類を通すコツとかはありません。中途採用と同じで基本的には業績や経験がみられるようなので、こればかりは出しまくるしかないです。日本の大学では、枠ひとつに対して2~3人しか面接に呼ばれないようです。狭き門なので祈られてもイチイチ凹んでいられません。

運よく面接に呼ばれた際の注意点です。面接では、採用側が知りたいことをキチンと伝えることが大事です。大学面接の詳細はココに書いておきました。これまでの研究これからの研究に加えて、伝えておくポイントは以下の通りです。
 ・他の研究者にはない自分の強み
 ・提案する研究の目標
 ・教育の抱負と担当教科


【海外から日本の一般的な大学教員ポストに応募する際の問題点】
日本の大学就職活動のデメリットとして、
 ①応募書類の郵送
 ②面接渡航費の援助がない
 ③既に有力者が決まった上での公募が多い
 ④分野が絞られすぎている
という点が挙げられます。これらの制限が足かせとなり、今年は出せるものが殆どありませんでした。

①の制限により、海外にいる人は、書類の〆切り数週間前に書類を準備しておく必要があります。書類の書き方も、欧米の大学とは違うので要注意です。特に履歴書は大学に応じてテンプレートが違うので、英語でCVを用意している方は、早めにチェックしておくと良いです。出版論文リストは履歴書に入れず、一方で、写真を履歴書に貼りつける時があります。cover letter (intent letter)は不要な時が多いです。これらの書類をA4サイズ(米国はレターサイズなのに!)に印刷して、CDかUSBも一緒に同封することを求められます(ほんとPDFをアップするだけにしてほしい)。

②と③の合わせ技は、海外研究者を泣かせる場合があります。可能であれば、普段から学会などで日本の教員から情報収集しておくといいです。特に応募期間が1~2カ月しかないもの、分野が極端に絞られている公募は要注意です。

「テニュアトラック」という名を謳っていても、④の制限が強い場合があります。ずっと海外で研究してきた方は、違和感を覚えるかもしれません。国によって研究室の運営体制が違うので、分からない点は大学に聞いてみるといいと思います。おそらく③と④の制限があるのは、日本の大学に講座制が残っているからではないでしょうか。特に日本の助教は独立しておらず(欧米のポスドクやサイエンティストと同じ仕事内容)、教授と同じ分野で同じ装置を使える方を見つけるために制限されているのだと思います。

後、米国と違い、研究能力がなくなっていても、日本では大学に居座れるので、そんな教授が審査側に回ってきたときは大変です。稀ですが、研究内容について深く議論できるような見解を持ち合わせていないのに、優秀な若手研究者を審査する、なんていう地獄絵図に直面するわけです。教授に対して「その考えは間違っている、勉強しなおしてこい」と言いたくなる若手研究者側の気持ちがわかりますか?そんな教授からの審査判断も、科学者として素晴らしいとかではなく、単にその人が好きか嫌いかという話になってくるので、それはそれはもう最悪です。

海外からのアカデミア就活(Onigiritani)
…実際のところ、私が本年度受けてみて、OIST以外の書類は①でしたが、大抵の国立大学はSkype面接を受け入れていました。少しずつ変わってきているのかもしれませんね。


【日本の大学教員の国際的な公募】
最近は世界基準の公募も出てきています。OISTAIMRなどです。これらは申請書類も募集時期も海外と同じかやや早い頃です。分野もあまり絞られれていませんし、書類の提出もオンライン(またはメール)です。長く海外で研究してきた方は、こちらの方が出しやすいと思います。

一例としてOISTの場合を書いておきます。提出書類は、
 ・cover letter(2ページ)
 ・CV(ページ無制限)
 ・これまでの研究概要(5ページ)
 ・研究提案(5ページ)
 ・教育経験
です。Citizenの記入項目もあります。あと、推薦者が3名必要です。審査基準はコチラで触れられています。世界の研究者の中で学識と研究内容が上位5~10%に入ることが、教員採用の最低水準のようです。トップ10%論文の調べ方はコチラ。倍率は100倍以上のようです。MITならポスドクの上位者か理研なら主任研究員、東大なら講師以上のレベルが求められるのではないでしょうか?

OISTは、テニュアをとれたら70歳まで研究できるようですね。素晴らしい。ただ、都心部から離れていること(設備修理・交通の不利)が気になるとことろです。一人で研究するだけなら何の問題もありませんが、家族と長く暮らすとなると要相談です。一般的な日本の大学とコンセプトが違うので、応募前にココを見ておくといいかもしれません。一度応募書類を書いておくと、秋から始まる欧米の公募にも使い回せるので、夏休みあたりに書いて完成度を高めておくといいかもしれません。

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