日本の大学や企業に数年滞在予定の外国人研究者からの相談内容をまとめておきます。日本には、中国、韓国、インド人学生が昔から多数いますが、彼らは自分たちのネットワークをいかして、以下の辛さを乗り越えているんだと思います。とても大変だと思います。そのようなネットワークの少ない欧米人からは、特によく相談されます。
【英語が通じない】
「国際会議で滞在する際にホテルのキャンセルが英語でもできなかった、だから日本に長期滞在するのは怖い」という話を聞きます。「いや、日本のホテルや駅の人はちゃんと英語が話せるよ」と反論したくなるでしょうが、欧州の訛りやネィティブ英語には対応できていないようです。特に電話だと、国際的なホテルでも全然英語が聞き取れていない場合があるようです。一方で、話すほうは街中の人でも問題ないようです。つまり、道案内程度の会話なら今までの日本の教育でも十分話せているわけです。
上記を踏まえて、日本の方にはNative EnglishではなくJapanese Englishを目指してほしいと思います。要は、そんなにきれいな英語を話せなくていいから、なんとなく聞き取って話しまくる、聞き取れなかったら聞き直しまくるなど、会話経験を増やしてコミュニケーションをとれるほうに重点を置くといいんじゃないかなと思います。いろんな訛りやアクセント、トーン、スピードがありますが、こればっかりは動画や英会話では身に付きません。NHKニュースが聞き取れても、漫才が聞き取れないのと同じです。
【移動方法が難解】
JR等の英語サイト情報が不十分で分かりづらいです。富山国際会議場に行くのに、東京-富山間の新幹線の切符購入で散々質問攻めにあいました。富山は西日本の管轄だからとかではなく、JR全体で統一した情報サイトを掲示してほしいです。
英語で日本の鉄道を検索してみてください。非常にわかりづらいです。例えばこのサイトを使って、東京から軽井沢に行く方法を調べてみてください。私は無理でした。すぐにJordanを教えました。ドイツやスイスの鉄道のように、メイン画面を分かりやすくシンプルにしてほしいものです。また、新幹線くらいオンラインで事前購入できるようにしてほしいです。Pasmoを国際空港で配るのもいいかもしれません。
成田と羽田も理解不能です。米国からしたらどっちも東京ですから。なぜ東京に2個も国際空港がある?何が違う?と、よく聞かれます。
【実験設備がすべて日本語】
研究者にとって実験装置が使えないのは致命的です。旧帝大ですら実験設備の利用方法や注意事項はすべて日本語で書かれており、「研究室訪問した際に実験できそうにないのを知って、日本の研究室に行くのを諦めた」という話を聞きます。欧米と違い、日本の大学には実験スタッフもほとんどいません。実験装置を理解してかつ英語が話せるのは、教員に限られてきます。結果、全ての実験装置の講習を教授がするのです。
【家や銀行手続きができない】
海外の大学では、非英語圏でも英語ペラペラの秘書が手伝ってくれますが、日本の大学では教授や学生が手伝わなくてはいけません。教授がポスドクのアパート契約をしに行くのです。アパート内の不具合や工事連絡の電話対応もサポートしないといけません。今はgoogle translateがあるので大抵の書類の内容は理解できますが、重要書類はやはりサポートせざるを得ません。同じ場所に曜日で分けるゴミ出しも難解なようです。欧州では、色分けされた分別用ごみ箱が置いてあります。
【妻の仕事先が見つからない】
欧州では結婚している又は婚約している場合、パートナー同伴で動くのが当然の文化です。単身赴任はマイナーです。日本で仕事を探そうとしても、英語でできる仕事は給料の低い英会話教室に限られているようです。それもあればいいほうです。ビザや税金についてもわかりづらいと聞きますが、大学事務がそこすらサポートしていないのでしょうか?(彼らの調査不足?)
【子供の学費が高すぎる】
日本語のみの小学校に通わせるのは、日本語を全く話せない家庭の子供にも辛いです。それでも、日本に永住するなら日本語を学ばせるのも一つかもしれませんが、それは彼らの選択次第です。インターナショナルスクールに通わせる場合は、一人月20万円以上します。子供が二人いれば、研究員(月35万円程度)と英会話学校の給与では到底足りません。
上記に加えて、日本の大学院生は給与がもらえないし、大学教員の給与も欧米の半分程度です。欧米在住者にとって、家族と遠く離れてしまう日本の大学院に来るバリアが高すぎます。もし、日本の大学が国際化を加速したいなら、せめて、大学が英語対応のアパートおよび小学校と特別契約するとか、専用の事務員を配備するとか、対応窓口を用意するとか、インフラの整備をしたほうがいいと思います。
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